新日本酒紀行 地域を醸すもの
宮城県石巻市
「日高見」HITAKAMI
1861年創業当時の面影を残す酒蔵の外観 Photo by Yohko Yamamoto
『魚でやるなら日高見だっちゃ!
すしから酒を設計する漁港の酒蔵』
すしと合う酒を徹底して目指す、宮城県石巻市の平孝酒造5代目平井孝浩さん。
「魚でやるなら日高見だっちゃ!」と酒のラベルに入れ、赤身や白身に合わせた酒を造り、蔵にすしカウンターを設置するほどすしに傾倒。
きっかけは石川県の蔵元に案内された金沢の名店すしとの出合いだ。
シャリとネタの完成度の高さに心奪われ開眼するが、自分の酒がすしに合わないことも痛感する。
杜氏に「すしに合う酒を」と頼むと、「ネタは千差万別、人の好みは十人十色、感性の数値化を」と返答され、イメージを伝えては醸し、すし店に持ち込んでは手厳しい評価を受け、試行錯誤の末に完成させたのが、純米酒の「超辛口」。
赤身の繊細な酸味に合うよう糖度と酸度を低くし、アミノ酸度を調整。飲用温度帯は広く、値段は手頃で一躍人気に。
好評が続く「超辛口」だったが、あるすし店の親方から「この酒で全てのネタは無理」と指摘がある。平井さんも、白身や貝、甲殻類の淡い甘味には……と思っていただけに奮起。
4年越しで純米吟醸の「弥助」を完成。そして、卵焼にも合う純米大吟醸の「助六初桜」を開発。
すしに合う酒を追い求める平井さんに付いたあだ名はすし王子。
探究はまだまだ続く。
「日高見 超辛口純米酒」
●平孝酒造・宮城県石巻市清水町1-5-3
●代表銘柄:日高見 純米吟醸 弥助、日高見 純米大吟醸 助六初桜、日高見 山田錦純米
●杜氏:奥原秀樹
●主要な米の品種:ひとめぼれ、蔵の華、山田錦
改築した醸造蔵 Photo by Y.Y.
5代目の平井孝浩さん Photo by Y.Y.
蔵人の食堂 Photo by Y.Y.
明るくおしゃれな蔵人の食堂 Photo by Y.Y.
自然光が入る原料処理室 Photo by Y.Y.
明るく効率的なレイアウトの原料処理室 Photo by Y.Y.
最新鋭の洗米機を導入 Photo by Y.Y.
麹室 Photo by Y.Y.
分析室 Photo by Y.Y.
元麹室を酒母室に変えた Photo by Y.Y.
酒母室 Photo by Y.Y.
ステンレス張りの清潔な発酵室 Photo by Y.Y.
貯蔵タンク Photo by Y.Y.
吟醸発酵室 Photo by Y.Y.
自動圧搾機は冷蔵庫内に設置 Photo by Y.Y.
自動圧搾機は冷蔵庫内に設置 Photo by Y.Y.
瓶詰めライン Photo by Y.Y.
冷蔵倉庫 Photo by Y.Y.
蔵の中のすしカウンター Photo by Y.Y.
蔵の中のすしカウンター Photo by Y.Y.