週刊ダイヤモンド 2022年 1/15号 「新日本酒紀行 地域を醸すもの」は埼玉県上尾市の「彩來」さんをご紹介しています!
●出会いのきっかけ
藤枝 昭裕 さんに「これ飲んでみて!」と、某店で藤枝さんが持ち込んだ『彩來』をいただいたのが出会いのきっかけ。その後、一緒に蔵に訪問。素晴らしくて、すぐにでも紹介したかったのですが、売り切れ中で、断念していました。いよいよ、新酒ができた〜〜というわけでご紹介です。
クリアーで美しいキラキラ生まれ変わった上尾のお酒 #彩來 #SARA
北西酒造の北西 隆一郎 さんが、ひっくり返るくらいの設備投資をし、超清潔丁寧醸造で醸しています。いや、本当に蔵の中が整理整頓ピカピカで、きれいを徹底。
隆一郎さんの革命、半端なし! 彩來一度飲んでみてほしい埼玉の新星です。
昔からの名柄は「文楽」。日高屋でも飲めます。 そして、もっと凄い商品も3月頃でるようです。楽しみ★
https://diamond.jp/articles/-/292989
↑上尾駅から徒歩7分の北西酒造 Photo by Yohko Yamamoto
『大量生産から高品質の酒へ!
大改革で得たみずみずしい美酒』
北西酒造の初代、北西亀吉さんは中山道沿いの旧上尾宿という立地と、秩父からの良い水が潤沢に湧く上尾にほれ込み創業。
酒銘は人形浄瑠璃好きから「文楽」とし、義太夫、三味線、人形遣いで成り立つ文楽と、米、米麹、水から成る日本酒を重ね合わせた。
最盛期は4000石を醸造し、県内最大の製造量を誇った。だが日本酒の消費量が減少し、兼業の業務卸も不振が続き苦戦する。
5代目の隆一郎さんは、大学で金融工学を学び金融系の会社に就職。海外駐在するなど酒蔵を継ぐ気はなかった。
ある日、父から経営の相談を受け、改革を求められた。厳しい状況しかなかったが、意を決して2015年に入社。まず本業以外の事業を整理し、少量仕込みの高品質酒へと改革に乗り出す。
救いは杜氏の村上大介さんの存在だ。
7年連続、全国新酒鑑評会で金賞を受賞し、技術は高いが大量生産の市販酒では実力が出なかった。
隆一郎さんは「文楽」は残し、新しい酒に挑むため、ありとあらゆる酒を飲み、高品質の酒蔵を訪問。そして、大量生産型の設備を全て入れ替え、フレッシュな酒を目指し、搾り室を冷蔵化。壁はステンレスに替え衛生的な環境を整えた。
構想から5年、試験醸造を繰り返すと、みずみずしく果実感ある美酒に。
彩の国から来た酒で「彩來(さら)」と命名。
県外からも注文が増えた。蔵に売店、そば店を併設し、蔵見学を受け入れ、消費者に寄り添う酒を心掛ける。
地元素材の酒「AGEO」にも挑み、上尾の地酒を問い直す。
『彩來 純米吟醸』
●北西酒造・埼玉県上尾市上町2-5-5
●代表銘柄:彩來 純米吟醸、AGEO 生酛純米大吟醸、文楽 生酛純米
●杜氏:村上大介 ●主要な米の品種:山田錦、雄町、五百万石、彩のかがやき
上尾駅から徒歩7分の北西酒造 Photo by Y.Y.
上尾駅から徒歩7分の北西酒造 Photo by Y.Y.
直営の十一屋酒店 Photo by Y.Y.
直営の十一屋酒店 Photo by Y.Y.
原料処理室 Photo by Y.Y.
原料処理室 Photo by Y.Y.
脱水機 Photo by Y.Y.
データを確認する北西隆一郎さん Photo by Y.Y.
麹室 Photo by Y.Y.
麹室 Photo by Y.Y.
大吟醸系の米麹を造る麹蓋 Photo by Y.Y.
大吟醸系の米麹を造る麹蓋 Photo by Y.Y.
純吟と純米は麹箱を使用 Photo by Y.Y.
米麹 Photo by Y.Y.
米麹 Photo by Y.Y.
米麹 Photo by Y.Y.
酒母室 Photo by Y.Y.
もろみタンク Photo by Y.Y.
もろみタンク Photo by Y.Y.
彩來のもろみ Photo by Y.Y.
搾り機は冷蔵除湿室に設置 Photo by Y.Y.
仕込水は秩父からの伏流水。酒造りに向く弱硬水 Photo by Y.Y.
仕込水は秩父からの伏流水。酒造りに向く弱硬水 Photo by Y.Y. 拡大画像表示
隆一郎さん Photo by Y.Y.
蔵1階のそば店には製品が勢ぞろい Photo by Y.Y.
(酒食ジャーナリスト 山本洋子)
※週刊ダイヤモンド2022年1月15日号より転載