https://diamond.jp/articles/-/272285
週刊ダイヤモンドの連載『新日本酒紀行 地域を醸すもの』
週刊ダイヤモンド21年6月5日号
本の発売から約2週間後に、ダイヤモンドオンラインでご紹介しています。
今週のオンライン「新日本酒紀行」は、藤岡 美樹 杜氏が率いる「天美」醸造元の長州酒造株式会社さんを紹介!https://diamond.jp/articles/-/272285
「天美」は日本酒初めてさんでも「えっ!?ナニコレおいしいっ」と、目が見開き、声があがる酒(何度もその場面に遭遇)
一切のオフフレーバーと、無縁。クリーン、フレッシュ、フルーティ、アフターのキレもあり、かろやかなおいしさです!
蔵の中は、超クリーンでピカピカ✨ 蔵が新しいのはもちろんですが、徹底した清掃、整頓、洗浄を繰り返す姿は感動的。
お酒が足らないという忙しい蔵は、ちょうど今、社員募集中です★
詳細は 長州酒造株式会社 のページをご覧ください。
新日本酒紀行「天美」山口県下関市菊川町
↑蔵を率いる杜氏の藤岡美樹さん Photo by Yohko Yamamoto
『地域貢献を願い
新生した酒蔵が醸す天上の美酒』
(本文より)
2020年11月、150年で途絶えた酒蔵の跡地に、新しい酒蔵が完成し、新酒「天美the first」が初出荷され即刻完売した。
蔵元は太陽光発電や半導体メーカーの長州産業で、酒蔵経営は初となる。
杜氏は3蔵で経験を積んだ藤岡美樹さんが務め、わずかにガスを含んだフレッシュ感とブドウや白桃のような果実感ある美しい酒を醸す。
長州産業の岡本晋社長はチョウザメの養殖事業を手掛け、水を探していたさいに休業中の児玉酒造と出合った。
酒蔵を継げば農業と雇用が活性化し、念願だった地域貢献ができると、酒造免許を譲り受け、長州酒造を立ち上げた。
蔵は老朽化が激しく、更地から新造を決意。すると酒造機器会社から「設計段階で杜氏を入れた方がよい。困難でもやり遂げる根性を持った杜氏がいる」と美樹さんを紹介された。
当の美樹さんは「先細りする酒造業界で、経験もない会社が膨大な設備投資を行うのは続かない」と断る。だが社長の強い意志に共感して杜氏を引き受け、夫と子供と三重県から移住した。
蔵の設計を任され、酒造器具をそろえ、いよいよ酒造りという段階で予想外のにおいに悩まされた。新品の機械や部品による新車のようなにおいで、新品臭が消えるまで、壁から機器類まで半年以上かけて徹底的に洗浄。
そのため酒造開始が遅れ、初めての蔵で酒造りのデータもない中、妥協せずに必死で醸した。
「おいしくな~れと声を掛け、ありったけの愛を込めて」と、美樹さんは新しい蔵に息吹を吹き込む。
↑「天美 純米吟醸」
●長州酒造・山口県下関市菊川町大字吉賀72
●代表銘柄:天美 純米大吟醸、天美 特別純米
●杜氏:藤岡美樹
●主要な米の品種:山田錦、西都の雫、雄町
田んぼの中に立つ、長州酒造。蔵外観
仕込み蔵への入り口には、エアシャワーを設置しています。
精米は技術が高い萩酒米みがき協同組合に依頼
山口県が開発した酒米「西都の雫」
貴重な赤磐雄町も!
原料処理室
原料処理室。洗米は10kg単位
ピカピカと輝く甑(こしき)
甑(こしき)その2
放冷機
麹室
吟醸用五段製麹機
酒母室
仕込み蔵。全量1t仕込み
もろみ
元気な、もろみ💛
搾り機は洗浄し過ぎて、布がほつれたそうです
「天美 特別純米」
旧蔵の梁で作った椅子も。
※週刊ダイヤモンド2021年6月5日号より転載