↑初代の名が入った創業からの看板 Photo by Yohko Yamamoto
週刊ダイヤモンド 2021年2月27日号
「新日本酒紀行 地域を醸すもの」ダイヤモンドオンラインでUP!
富山県高岡市 「勝駒」
『全量、吟醸造りを目指して!
美酒を極める小さな造り酒屋』
(本文より)
芸術家、池田満寿夫氏の躍動感溢れる「勝駒」の揮毫ラベル。清都酒造場3代目の清都康介さんが仲間と共に、蔵の酒を愛した氏に宴席で依頼して実現した。ラベルには「富山の小さな手造り酒やです。5人の造り手で、そう、こっぽり(沢山)とはできません」と蔵の姿勢も紹介される。
「新鮮な富山の魚に合う、きれいな酒を目指しました」と康介さん。
創業は1906年。康介さんの祖父、慶介さんが日露戦争から帰還後に千保川近くで酒造りを開始。銘柄「勝駒」は戦勝を記念して命名された。明治期築の木造2階建ては国の登録有形文化財で、切妻造り、桟瓦葺と風情があるが、酒造設備は酒質第一で整備する。
今のスタイルの勝駒の誕生は、30年前に遡る。高品質の酒を目指した康介さんが、当時まだ珍しかった吟醸酒造りへと舵を切った。能登杜氏の川原康義さんを招き、最高峰の酒米、山田錦で吟醸酒に挑戦。その酒が高評価を受けて人気酒に。
今、代表的な商品は、兵庫県産山田錦で醸す大吟醸と純米吟醸、富山県産五百万石で醸す純米酒と本醸造。酵母は金沢酵母のみと潔い。純米酒の精米歩合を見て驚く。玄米を半分磨いた50%で、大吟醸を名乗れる高品質。他の酒も精米歩合が高い。「不容偽(偽りを入れず)」が酒造りの信条と康介さん。
量産せず、良心的価格で、美酒をひたすら極める。その美学を引き継ぐのは、4代目の浩平さん。さらなる美酒を極めていく。
↑ 「勝駒 純米」
●清都酒造場 ・富山県高岡市京町12-12
●代表銘柄:勝駒 特別大吟醸、勝駒 大吟醸、勝駒 純米吟醸、勝駒 本仕込 特別本醸造
●杜氏:社員杜氏 ●主要な米の品種:山田錦、五百万石
蔵は旧氷見街道に立つ木造2階建て。Photo by Y.Y.
中庭の右奥が酒蔵
明治末期製造の陶器の四斗樽
池田満寿夫氏の元の書。原画はとても大きい。
「不容偽(偽りを入れず)が、創業時からの理念
木造家屋の中の土蔵、酒蔵の入り口
サーマルタンクが並ぶ
酒瓶を飾る台の背後は昔の木桶
ラベルに記した蔵の紹介
代表銘柄。左端は季節限定のしぼりたて
兵庫県産山田錦で醸す大吟醸と純米吟醸、富山県産五百万石で醸す純米酒と本醸造。
酵母は金沢酵母のみ。純米酒の精米歩合は50%で大吟醸を名乗れる高品質。他の酒も精米歩合が高い。「不容偽(偽りを入れず)」が酒造りの信条。
(酒食ジャーナリスト 山本洋子)
※週刊ダイヤモンド2021年2月27日号より転載
https://www.diamond.co.jp/magazine/20244022721.html