あおい友紀さん~清永真理子さんから「日本酒リレー! 」が届きました。(ルールは最後に入れました) いろいろ考えて、これはぜひ!皆さんに紹介したいと印象深いおつまみをご紹介することに。
岩手の川村酒造店の 川村 直孝 (Naotaka Kawamura) さんに
「どんな肴を食べていますか?」と聞いたとき、
「ニシンの粕漬け」と!
「それさえあれば、もういくらでも飲めるんです(笑)」 🙂
日本のすぐれた保存食「ニシン」北前船にたくさん積み込まれました。
昔は身欠きニシンで、今はソフトニシンが主流ですね。
ニシン蕎麦のおいしさったら!
というわけで、そのニシンのレシピを教わりに、岩手の石鳥谷に行ったのです。
川村ママから教えてもらうと
「身欠きニシンはもどさずに、ゆるくといた酒粕に、つけてもどして焼く」という、想像もしなかったレシピでした。
これが、ゆるゆるしたお燗酒にあうのなんの~~!
というわけで
『川村酒造店さんに教わったゆるゆる酒肴 ニシンの巻』
をご紹介します🍶
↑左が蔵元杜氏の川村さん、蔵人たちと
◉『ニシンの酒粕漬け』作り方
1 身欠きニシンは水洗いし、タワシを使って表面をかるく洗い、水気を切る。ひと口大になるよう、3~4等分にカットしても。
2 酒粕(あれば半年ほど熟成させた練り粕)を、水でのばして流れるくらいのトロトロ状に溶く(コーンポタージュスープくらい)
3 容器に溶いた酒粕を敷きニシンを並べる。その上に酒粕をのせ、ニシンをのせることを繰り返して冷蔵庫で保存する。
1週間前後から食べ頃に。そのまま焼くか、醤油を少しかけて焼くとさらに香ばしさが増すそうです!
「粕をとらないで焼くのがおいしい。焦げたところがたまらないですよ!」と川村ママ
その通りでした!!!
もう、なんぼでも飲めます🍶(笑)
冷蔵庫にある!と思うだけで幸せに。
保存がきくのも嬉しい💛
なにより簡単で、燗酒に合う🍶超おいしいのが最高です!
・
「ちょっとお醤油たらしても美味しい」と
どうぞいろいろお試しあれ!
今は、身欠きニシンではなく、ソフトニシンが主流ですね
もちろんソフトニシンを漬けてもおいしいですよ~!
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『日本酒リレー』今回の新型コロナで日常の生活が制限され、家でご飯を作る方、また家飲みを愉しむ方が増えています。
そこで、簡単にできる日本酒おつまみレシピと、それに合う日本酒をSNSで発信し、自宅でも気軽に日本酒を楽しんでいただける場が広がればという想いで、「日本酒リレー」を立ち上がりました。
STAYHOME以降、特に日本酒の消費が落ちている今、日本酒愛溢れる皆様と盛り上げていければ嬉しいです!
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◉余談
私は(株)オレンジページ在籍中の編集時代に(すごい昔よ)、
『米の酒はおいしい』という本を編集。
その時のテーマの1つが、『蔵元の晩酌』でした。
おいしい純米酒を醸すお蔵さんの食とは?
自分のお酒の何を選んで、何をつまみに飲むのかを、知りたいと思ったのです。
それを聞くと、酒造の背景も見えてくるのです。
そこで、あるとき、岩手の川村酒造店の川村さんに、どんな肴を食べているか聞いたら「ニシンの粕漬け」と即答され、前述のセリフ
「それさえあれば、もういくらでも飲めるんです(笑)」
こと、身欠きニシンはもどすのが大変。それが、もどさず漬けるというから、興味津々に!
乾物と酒粕を使った”いくらでも飲めるおつまみ
伝えたい、残したい酒肴のひとつです。お宝ですよ★
あまりの感激に、「aff」でもご紹介↓
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1112/otakara.html
以下、原稿より↓
『カチンコチンがしっとり艶やか
北海の鯡(ニシン)、南部で酒の肴となる』
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「ニシンの粕漬けさえあれば、ゆるゆるいつまでも飲み続けられます」と笑う川村直孝さん。南部杜氏の町、石鳥谷(いしどりや)で酒造りを営む「▲右衛門(よえもん)」(▲=酉へんに与)川村酒造店の四代目。南部杜氏は、酒造りの技術の高さとその規模から日本一と名高い。
海から100km離れたこの町では、昔は魚と言えば干物。なかでもニシンの粕漬けは、直孝さんが子どもの頃からの定番料理。お酒を嗜むようになって、改めてその価値に気づいたといいます。
「肴の好みは人それぞれですが、ゆっくりと燗酒を楽しみたいならお薦め。刺身も良いけれど、ニシンはもっとうまいですよ」
ニシンとは身欠きニシンのことで、寒風にさらしてカチンコチンになるまで乾かしたもの。米のとぎ汁につけ、柔らかく戻してから調理しますが、川村家では戻さないで酒粕に漬け、味と水分を染み込ませていくとか。
ニシンは漢字だと「鰊」、または「鯡」と書きます。「魚に非ず」とは不思議ですが、江戸時代、松前藩では米代わりの年貢として納められたこともあり、それが由来という説も。それくらい身欠きニシンは大量に生産されたのです。
北前船の時代は全国津々浦々へ運ばれ、海から遠く離れた町の良質なタンパク源となり、さまざまな郷土料理が生まれました。京都のニシン蕎麦やニシンの昆布巻。福島ではニシン山椒漬け。会津本郷町では専用の四角い「にしん鉢」が今も使われています。気候風土に合わせ、さまざまな食べ方が工夫されたのがニシンなのです。
川村酒造店の酒銘となった「▲右衛門」は直孝さんの曾祖父の名。「人生修行のために酒造りをしたい」と各地の蔵で酒造りを経験後、腕利きの南部杜氏となり酒蔵を興しました。川村家のニシン粕漬けは、豊富にある酒粕を利用し、簡単でおいしい酒肴(しゅこう)として代々伝えられてきたのです。直孝さんのお母さん、勝子さんに作り方を伺うと「洗ったニシンを食べやすく切って、やっこい(柔らかい)酒粕に漬けるだけ。難しいことないのよ。上品な粕漬けは粕がつかないようガーゼを使うけど、粕がついた方がおいしいからそのまま漬けています。粕のお焦げがたまんないですよ」。
焼きたてのニシン粕漬けは、香ばしさに加え、酒粕の甘い香りが特徴。干物ならではの弾力もあり、ニシンに染み込んだ酒粕の甘味とうま味が噛むほどにジュワワ。あとを引くおいしさとはまさにこれ。酒の副産物、粕で漬けたのだから酒に合うのは当然かもしれません。
魚も肉も「生」がいいという風潮がありますが、冷蔵庫のない時代は、生とは違う滋味を尊ぶ文化がありました。保存するのにエネルギーを使わず、元の素材よりおいしく食べる工夫、そこに無理無駄はありません。まさに日本人の知恵の塊ですね。
http://www.yohkoyamamoto.sakura.ne.jp/archives/39908