酒蔵の周囲はクロマツの保安林が広がる。 Photo by Yohko Yamamoto
『晩酌酒から大吟醸まで、全量を渾身の生酛造りで醸す』
酒田市の居酒屋で燗酒を頼めば、ほぼ東北銘醸の「初孫」が供される。それほど地元に根付き愛される定番地酒だ。
1893年に、廻船問屋を営んでいた佐藤久吉さんが、最上川北岸の酒田港近くで酒造業を開始。最盛期は2万石以上と酒田一の酒蔵に成長した。全国新酒鑑評会や、海外で開催される鑑評会でも優秀な成績を重ねる。晩酌酒から大吟醸まで幅広い商品で魅了するが、全量を伝統技法の生酛造りで醸すのが特徴だ。
現代の酒造りの主流は速醸酛で、市販の乳酸を添加し安全かつ時間短縮を図るが、生酛造りは空気中の乳酸菌を呼び込み育成させるため、技術と長年の経験が必須となる。
「生酛造りは手間も時間もかかりますが、造り慣れている醸造方法が結果として安心なのです」と、4代目の佐藤淳司さんは話す。
↑『初孫 いなほ 純米吟醸生詰』
●東北銘醸・山形県酒田市十里塚字村東山125-3
●代表銘柄:初孫 魔斬、いなほ 純米吟醸、冬のカノン生酛吟醸酒、純米大吟醸 祥瑞
●杜氏:後藤英之 ●主要な米の品種:美山錦、出羽燦々、出羽の里、山田錦
蔵の周囲はクロマツの保安林が広がる。 Photo by Yohko Yamamoto
原料処理室。大仕込み用の浸漬槽と蒸米機、小仕込み用の甑が並ぶ Photo by Yohko Yamamoto
原料処理室。どこも磨き上げられている。 Photo by Yohko Yamamoto
原料処理室 Photo by Yohko Yamamoto
洗米用の籠は2種類あり Photo by Yohko Yamamoto
網目を工夫したオリジナルの洗米籠。Photo by Yohko Yamamoto
杉材で出来た麹室 Photo by Yohko Yamamoto
整然と並ぶ杉材の麹蓋 Photo by Yohko Yamamoto
ベテラン杜氏の後藤英之さん Photo by Yohko Yamamoto
大型の製麹機 Photo by Yohko Yamamoto
製麹機で造る米麹 Photo by Yohko Yamamoto
米麹 Photo by Yohko Yamamoto
酒母造り Photo by Touhokumeijou
酒母造り Photo by Touhokumeijou
酒母造り Photo by Touhokumeijou