新潟県加茂市
創業地は加茂市、現醸造所は新潟市秋葉区に Photo by Aki Kawana
週刊ダイヤモンド2023年 4/1号でご紹介したのは大人気の酒蔵加茂錦酒造 さんです🌾
美しさが織りなす品位を探究!
目指すは「好みの壁を越える酒」
(本文)
酒造り3年目で、難関の鑑評会で最高位を受賞した加茂錦酒造の田中悠一さん。
きれいなうま味が広がる斬新な酒を次々と世に出し、「新潟に彗星現る」と瞬く間に人気銘柄に駆け上がった。
酒蔵は家業ではなく、2009年に悠一さんの父が遠戚の酒蔵の再建を引き受けてのスタートだ。
当時、悠一さんは新潟大学工学部の学生で、下戸の父が勉強のため集めた酒を、毎晩、千本ノックのようにきき酒した。
全国の銘酒を知り理解を深めるうち、徐々に酒造りへの興味が湧く。両親は強く反対したが、大学3年で休学し酒造りの道へ。文献を読みネットで検索、先輩の蔵元や酒販店の指導も受け、多種多様な米と酵母で試行錯誤を重ねた。
理系脳を発揮し、醸造道具も自作。排水の早さを重要視した浸漬装置は、数人掛かりの作業を1人で実現可能に。製麹時の厚みを可視化できる仕掛けも考案し、温度調整は遠隔で管理。品質向上に加え、労働時間の改善につながった。
デビュー作の「荷札酒(にふだざけ)」は、ラベルに酒米や精米歩合、酒造年度、タンク番号まで区分記載し、造り手の設計意図を伝える。
アルコール13度原酒の酒は「黄水仙」と名付け、味を日本の伝統色で表し、飲み手に興味を湧かせた。プレミアムクラスの「BRILLIANCE(ブリリアンス)」では、希少な酒米をより磨き、エイジングを加えて品位を追求。美しく重層感のある味は、食のペアリングを求める飲食店主からも絶賛される。
探究心の塊、悠一さんが目指すのは「好みの壁を越えられる酒」だ。
●加茂錦酒造・新潟県加茂市仲町3-3●
代表銘柄:荷札酒 生詰原酒 純米大吟醸、荷札酒 月白 純米大吟醸、BRILLIANCE 播州愛山
●杜氏:田中悠一
●主要な米の品種:山田錦、雄町、五百万石
米は二重蒸気槽で蒸す Photo by Junichi Takahashi
種麹をふる田中悠一さん Photo by Junichi Takahashi
麹造り Photo by Junichi Takahashi
製麹装置は透過光で麹の均一さを判別する Photo by Junichi Takahashi
「バリバリ乾かす」という出麹 Photo by Junichi Takahashi
酒母造り Photo by Junichi Takahashi
1枚ずつはんこを押す荷札ラベル Photo by Aki Kawana
1枚ずつはんこを押す荷札ラベル Photo by Aki Kawana
キャップのロゴデザインは仕込み水の源、名峰粟ヶ岳から流れる加茂川
Photo by Yohko Yamamoto
荷札酒 出羽燦々 Photo by kamonishikisyuzou
荷札酒 吉川山田錦 Photo by kamonishikisyuzou
BRILLIANCE 赤磐雄町 Photo by kamonishikisyuzou
BRILLIANCE 播州愛山 Photo by kamonishikisyuzou
日本酒と食のジャーナリスト 山本洋子
※週刊ダイヤモンド2023年4月1日号より転載