週刊ダイヤモンド2022年6月25日号の『新日本酒紀行 地域を醸すもの』は長野県塩尻市奈良井の「narai」を紹介!
奈良井宿は重要伝統的建造物群保存地区に選定 Photo by Yohko Yamamoto
『標高940mの奈良井宿で、
杜氏が1人で醸すマイクロブルワリー』
(本文)
日本遺産の木曽路の玄関口、奈良井宿。千本格子の町並みが続き、江戸時代の面影を色濃く残す、標高940mの地で日本最長を誇る宿場町だ。
この宿(しゅく)で休眠していた杉の森酒造が、2021年に、suginomori breweryとして復活。
地域再生計画で蔵を宿泊施設にする計画が進行中に、酒造免許が残っていたことが判明。酒蔵ごとよみがえらせ、宿とレストランに併設する案に変更された。
杜氏に抜擢されたのが入江将之さんだ。富久千代酒造、鹿野酒造、本田商店を経て、松本酒造で5年間修業中に経歴と腕の良さを見込まれた。一般的に酒造りは、各工程で分業化されているが、この蔵は入江さんが全てを担う。
冷蔵機能を完備し、通年で製造可能な四季醸造の蔵で、少量仕込みによるフレッシュな酒を提供する。
館内のレストランと酒蔵は、大きなガラス越しにつながり、臨場感ある酒造りの様子が伝わってくる。
甑(こしき)やタンクは新しいが、櫂棒や溜桶(ためおけ)などは昔の木の道具を修理して再利用。新しい道具は地元の木製品を選ぶ。
「木曽は木工の技術が高い。地元の林業と共に歩みたい」と入江さん。
蔵元のサンドバーグ弘さんは、「田んぼや酒蔵、次世代へ継承する酒造りを世界に届けたい」と語る。
地元の山水と、安曇野の酒米、諏訪の蔵で分離された7号酵母という長野の恵みを生かす酒造り。それが新生「narai(ナライ)」だ。
微発泡の、シャープでドライな清涼感にあふれ、歴史ある蔵と宿に、新しい風を吹き込む。
奈良井宿は重要伝統的建造物群保存地区に選定 Photo by Y.Y.
昔の蔵を改装した宿「BYAKU Narai」の玄関。この奥に酒蔵が Photo by Y.Y.
昔の看板 Photo by Y.Y.
釜場、四角い木甑 Photo by Y.Y.
麹室。製麹は木箱を使用 Photo:suginomori brewery
麹室。製麹は木箱を使用 Photo:suginomori brewery
麹室。製麹は木箱を使用 Photo:suginomori brewery
仕込み蔵 Photo by Y.Y.
木の道具類 Photo by Y.Y.
木の道具類 Photo by Y.Y.
昔の蔵の建具も活用 Photo by Y.Y.
杜氏の入江将之さん Photo by Y.Y.
微発泡の「narai」 Photo by Y.Y.
(酒食ジャーナリスト 山本洋子)
Photo by Y.Y.
※週刊ダイヤモンド2022年6月25日号より転載
https://www.diamond.co.jp/magazine/20244062522.html
週刊ダイヤモンド22年6月25日号