新日本酒紀行 地域を醸すもの 日本酒

新日本酒紀行 地域を醸すもの・ハッピーどぶろく 261

池島幸太郎さん
ハッピー太郎さんこと池島幸太郎さん  Photo by Yohko Yamamoto

週刊ダイヤモンド2022年6月18日号

新日本酒紀行 地域を醸すもの

滋賀県長浜市「ハッピーどぶろく」

 #ハッピー太郎 さんの醸造所があるのは 湖のスコーレ の中。京都大学文学部で美学美術史を専攻。酒造りに開眼。島根の農業法人と酒蔵、滋賀の酒蔵、大阪の地酒専門店で修業、彦根でハッピー太郎醸造所を創業。米を選び抜いたどぶろくは前代未聞の6段仕込み‼︎

『麹菌が喜ぶ自然米で育てた完熟麹で醸す
 6段仕込みのどぶろく』

琵琶湖は湖魚と良質な米に恵まれ、古来のすし、乳酸発酵させた鮒ずしなど、発酵文化が発達した。

湖北地域の長浜市は、豊臣秀吉が街づくりし、姉川や賤ケ岳の合戦場も近く、長浜曳山祭と古い街並み、食文化を生かした観光振興で、年間700万人が訪れる。

 2021年12月、新たに「湖のスコーレ」が開業。スコーレとはギリシャ語で学校を意味し、暮らしの知恵を学ぶ商業文化施設だ。

ここの醸造室を担うのが、ハッピー太郎こと池島幸太郎さん。大阪生まれの滋賀育ち。京都大学文学部で美学美術史を専攻。在学中、酒造りに開眼し、卒業後に島根の農業法人と酒蔵、滋賀の酒蔵、大阪の地酒専門店「山中酒の店」で12年間修業。17年に彦根市でハッピー太郎醸造所を創業した。

醸造所と名付けたが酒造免許はなく、麹、味噌、鮒ずしを製造し、「手前味噌の会」を開催。その活動が縁を結び、醸造室を任された。そして念願の「その他の醸造酒」免許が取得でき、どぶろく醸造を開始。

「麹菌は種麹と言うように、種なんです。蒸し米は土で、麹菌をまいて環境を整え、完熟の麹になるまで育てます」と幸太郎さん。

さまざまな米を試す中、麹菌が喜び、力強く美しい完熟麹が育つのは自然農法の米と分かった。地元の自然栽培歴30年の農家に通って米を分けてもらう。そんな麹で醸すどぶろくは、前代未聞の6段仕込み! 丁寧な工程を経た味は、極上の透明感ある甘さと滑らかさで、冷酒も燗酒も美味。コンセプトは「発酵でつなぐ、幸せ」だ。

ハッピーどぶろくハッピーどぶろく』
ハッピー太郎醸造所・滋賀県長浜市元浜町13-29
●代表銘柄:ハッピーどぶろく 甘口、ハッピーどぶろく 辛口
●杜氏:池島幸太郎
●主要な米の品種:滋賀旭、ありがとう米、秋の詩
「湖のスコーレ」内の醸造所「湖のスコーレ」内の醸造所 Photo by Y.Y.
「湖のスコーレ」内の醸造所「湖のスコーレ」内の醸造所 Photo by Y.Y.
「湖のスコーレ」内の醸造所「湖のスコーレ」内の醸造所 Photo by Y.Y.
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【写真】米は地元の3農家から
米は地元の3農家から米は地元の3農家から Photo by Y.Y.
米は地元の3農家から米は地元の3農家から Photo by Y.Y.
米は地元の3農家から米は地元の3農家から Photo by Y.Y.
米は蒸籠で蒸す米は蒸籠で蒸す Photo by Y.Y.
米は蒸籠で蒸す米は蒸籠で蒸す Photo by Y.Y.
蒸し米の放冷蒸し米の放冷 Photo by Y.Y.
麹室麹室 Photo by Y.Y.
麹の乾燥麹の乾燥 Photo by Y.Y.
麹の乾燥麹の乾燥 Photo by Y.Y.
仕込みは400リットルのサーマルタンクで仕込みは400リットルのサーマルタンクで Photo by Y.Y.
もろみもろみ Photo by Y.Y.
ろ紙で漉し、アルコール度数を測るろ紙で漉し、アルコール度数を測る Photo by Y.Y.
どぶろくどぶろく Photo by Y.Y.
どぶろくどぶろく Photo by Y.Y. 拡大画像表示
「ハッピー糀」「ハッピー糀」 Photo by Y.Y.
「濃厚甘酒の素」「濃厚甘酒の素」 Photo by Y.Y.
「昔の白味噌」「昔の白味噌」 Photo by Y.Y.
「ハス子なれずし」「ハス子なれずし」 Photo by Y.Y.
施設内の喫茶室でもどぶろくが飲める施設内の喫茶室でもどぶろくが飲める Photo by Y.Y.
店頭で有料試飲もOK店頭で有料試飲もOK Photo by Y.Y.

(酒食ジャーナリスト 山本洋子)

週刊ダイヤモンド2022年6月18日号より転載