ハッピー太郎さんこと池島幸太郎さん Photo by Yohko Yamamoto
滋賀県長浜市「ハッピーどぶろく」
#ハッピー太郎 さんの醸造所があるのは 湖のスコーレ の中。京都大学文学部で美学美術史を専攻。酒造りに開眼。島根の農業法人と酒蔵、滋賀の酒蔵、大阪の地酒専門店で修業、彦根でハッピー太郎醸造所を創業。米を選び抜いたどぶろくは前代未聞の6段仕込み‼︎
『麹菌が喜ぶ自然米で育てた完熟麹で醸す
6段仕込みのどぶろく』
琵琶湖は湖魚と良質な米に恵まれ、古来のすし、乳酸発酵させた鮒ずしなど、発酵文化が発達した。
湖北地域の長浜市は、豊臣秀吉が街づくりし、姉川や賤ケ岳の合戦場も近く、長浜曳山祭と古い街並み、食文化を生かした観光振興で、年間700万人が訪れる。
2021年12月、新たに「湖のスコーレ」が開業。スコーレとはギリシャ語で学校を意味し、暮らしの知恵を学ぶ商業文化施設だ。
ここの醸造室を担うのが、ハッピー太郎こと池島幸太郎さん。大阪生まれの滋賀育ち。京都大学文学部で美学美術史を専攻。在学中、酒造りに開眼し、卒業後に島根の農業法人と酒蔵、滋賀の酒蔵、大阪の地酒専門店「山中酒の店」で12年間修業。17年に彦根市でハッピー太郎醸造所を創業した。
醸造所と名付けたが酒造免許はなく、麹、味噌、鮒ずしを製造し、「手前味噌の会」を開催。その活動が縁を結び、醸造室を任された。そして念願の「その他の醸造酒」免許が取得でき、どぶろく醸造を開始。
「麹菌は種麹と言うように、種なんです。蒸し米は土で、麹菌をまいて環境を整え、完熟の麹になるまで育てます」と幸太郎さん。
さまざまな米を試す中、麹菌が喜び、力強く美しい完熟麹が育つのは自然農法の米と分かった。地元の自然栽培歴30年の農家に通って米を分けてもらう。そんな麹で醸すどぶろくは、前代未聞の6段仕込み! 丁寧な工程を経た味は、極上の透明感ある甘さと滑らかさで、冷酒も燗酒も美味。コンセプトは「発酵でつなぐ、幸せ」だ。
●ハッピー太郎醸造所・滋賀県長浜市元浜町13-29
●代表銘柄:ハッピーどぶろく 甘口、ハッピーどぶろく 辛口
●杜氏:池島幸太郎
●主要な米の品種:滋賀旭、ありがとう米、秋の詩
(酒食ジャーナリスト 山本洋子)
※週刊ダイヤモンド2022年6月18日号より転載