週刊ダイヤモンド 2022年 3/5号『新日本酒紀行 地域を醸すもの』は、岐阜県大垣市の「白川郷 純米にごり酒」を紹介しています。
酒蔵 Photo:Miwashuzo
『日本唯一のテクスチャーを持つ
にごり酒の魅力を世界へ』
(本文より)
とろりとクリーミーな口当たりのにごり酒は、どぶろくと混同されがちだが、酒税法では、にごり酒は清酒、どぶろくはその他の醸造酒に分類される。違いは、濾(こ)すか濾さないかだ。
1976年から、世界遺産の白川郷の名を冠したにごり酒を醸す三輪酒造。8代目の三輪研二さんは、白濁した酒の面白さを世界に広めるのが夢。全国的にどぶろく醸造所が増え、その機運が高まってきたと感じる。
「にごり酒は、濾すから面白い。全国に1000以上のにごり酒があるが、造り方は千差万別です」。
三輪酒造は三段仕込みの最後に甘酒を加える四段仕込みが特徴。
醸造後に独自の網で濾し、濃厚で甘酸っぱく仕上げる。
和洋中韓の料理に合い、海外にも輸出。
醸造期間は10カ月と長く、「ささにごり酒」や瓶内二次発酵の泡酒、冷凍酒、どぶろくも造る。
原料米はあえて飯米。「米のタンパク質がアミノ酸に変わり、米の油分はコクを生む。いわば飲むご飯」。米の全量がほぼ酒になり、酒粕はたったの1%! レジスタントプロテイン、アミノ酸、ビタミンB群、食物繊維を含んでおり美肌効果や整腸作用もあるという。
「にごり酒のテクスチャーは世界でも唯一。甘味もうま味もあり、ロックでも燗(かん)でも、炭酸割りでもOK。コーヒーやぜんざいとも相性抜群なんです!」。
今年、2月5日を「にごり酒の日」として記念日登録した。他の蔵と一緒に、にごり酒協会も立ち上げる予定。
「毎月25日もにごり酒の日に」と研二さんの夢は広がる。
●三輪酒造・岐阜県大垣市船町4-48
●代表銘柄:白川郷 にごり酒、道三吟雪花、決戦関ヶ原、鉄心
●杜氏:杉原厚雄 ●主要な米の品種:岐阜県産米、ひだほまれ
三輪酒造の直営店 Photo:Miwashuzo
8代目の三輪研二さん。海外駐在経験があり、語学力を生かして世界に、にごり酒を情報発信する
米を蒸す
麹室で、蒸した米に麹菌をふりかけ、麹を造る。
麹室
もろみにかいを入れる杜氏の杉原厚雄さん
上槽
もろみを網で丁寧に濾す
もろみを網で丁寧に濾す 上記の写真すべて Photo:Miwashuzo
貯蔵タンク
瓶詰め Photo:Miwashuzo
日本酒度-25、酸度2の甘酸っぱさが魅力 Photo by Yohko Yamamoto
柑橘を入れ炭酸で割ると爽やか Photo by Y.Y.
「ささにごり酒」はNYの和食店で人気
瓶内二次発酵の「泡にごり酒」
上澄みを集めた酒、純米酒 上澄み
by 日本酒と食のジャーナリスト 山本洋子
※週刊ダイヤモンド2022年3月5日号より転載