↑感動の濁酒とワイン造りです!しかも、米とブドウは、田んぼとぶどう畑で自ら手がける🌾🍇蔵元杜氏の福光寛泰さんなのです。この2つの組み合わせは全国唯一? 波乱万丈の酒蔵復活物語
Photo by Yohko Yamamoto
新日本酒紀行 地域を醸すもの「朝光」
広島県山県郡北広島町大朝
『どぶろくこそ国酒!
復活蔵で醸す人生懸けた白い濁酒』
広島県と島根県の県境に位置する大朝は、石州街道沿いの宿場町として栄えた。
町唯一の酒蔵で、2020年に13年ぶりに復活した福光酒造は、木造の蔵。
カウンターではどぶろくとワインが飲める。
「創業は1933年。古い建物で趣もあるけど、傾きもあります」と、再興した4代目蔵元で杜氏の福光寛泰さんは笑う。
初代は母方の曽祖父で、遠縁が蔵を営むが後継ぎがなく、寛泰さんは将来を見据え、酒造の道へ進む。佐賀県の酒蔵などを経て、山口県の村重酒造で修業し、経験を重ねて副杜氏になった。
2006年、突然、福光酒造の3代目が病に倒れ、休蔵に。
先が見えない不安から、蔵元の妻は相談なく酒類製造免許を返上。後で知った寛泰さんは国税庁に返上の取り消しを掛け合うが無理と分かり号泣した。
だが、酒類総合研究所の当時の所長から、「北広島町には特区があり、どぶろくなら造れる」と聞いた。蔵の復活を願う町の声も多く、決意を固めて村重酒造を退社。
貯金を取り崩し、借金もして、16年から再建準備を開始。
片付と大工仕事に明け暮れ、最低限の醸造道具を導入。
町にはワイン特区もあり、開墾して畑を作りワイン用のブドウ苗を植えた。栽培、米洗い、瓶詰まで1人でこなして、早朝から深夜まで働き、とうとう19年にどぶろくを商品化。
米は地元産こいもみじ、蔵の井戸水と広島もみじ酵母で醸す。
「どぶろくは清酒よりも歴史が古い、いつか国酒に」と寛泰さん。
濾過を一切しない丸ごと勝負の濁酒(だくしゅ)は、キレッキレの辛口だ。
『純米濁酒 朝光 生酒 どぶろく』
●福光酒造・広島県山県郡北広島町大朝2441-1
●代表銘柄:廣島純米濁酒ゴールド朝光 吟造り 生酒 55%精米 どぶろく、辛口濁酒 鬼吉川 生酒 どぶろく
●杜氏:福光寛泰
●主要な米の品種:こいもみじ
仕込み蔵。昔のふねの跡を残した Photo by Y.Y.
こしきは村重酒造から譲り受けた
特注した製麹室
もろみタンク
もろみタンク
もろみタンク
入口横は分析室
昔のタンクや麹室で使ったプレートを記念に残す
仕込み水は敷地内の井戸から
左から、定番と吟造り
辛口は地元の戦国武将の渾名から命名
蔵で飲める濁酒とワイン
広島もみじ酵母を使用したワイン
ブドウ畑
玄関フロア
初代の福光次郎さん
蔵外観 (すべて Photo by Y.Y)