今や「地方創生蔵」とも呼ばれる上川大雪酒造ですが、塚原敏夫さん(中央)が行った今まで前例のない酒蔵の地域移動、そして、実績のない異業種からの参入・・・それは困難な道のりだったそうです。なんと、手続きに要した期間だけで2年間!
先が見えない創設期に「面白そうだ!」と手弁当で参加した、杜氏で副社長の川端慎治さん(右)、クリエイティブディレクターの新村銀之助さん(左)3人にインタビューさせてもらいました。Photo by Yohko Yamamoto
週刊ダイヤモンド21年4月3日号
https://www.diamond.co.jp/magazine/20241040321.html
新日本酒紀行 地域を醸すもの「上川大雪」
北海道上川郡上川町
『上川町発!北海道の米水人を活用し
(本文より)
日本最大の山岳自然公園、2000m級の山々が連なる大雪山国立公園。その北側の麓にある上川町は平均高度1000m、石狩川最上流の人口3398人の町。ここに誕生した酒蔵が奇跡を起こす。
蔵元は札幌出身の元証券マン、塚原敏夫さん。日本酒とは無縁だったが、休業中の三重県の酒蔵を譲り受け、上川町へ移転計画を立てた。
前例のない地域移動と実績のない異業種からの参入で手続きに2年を要したが、町長や役場の声援を受け、2017年に緑丘蔵を完成。
社名と銘柄に町名を入れ、飲んだ人を町へ呼びたいと考えた。
使う酒米は北海道産と決め、米調達の縁で知った小樽市出身の杜氏、川端慎治さんを誘う。蔵はコストを最小限に抑えたコンパクトな設計で、手作業中心の小仕込みで純米酒のみを醸す。
シンボルマークは塚原さんと旧知の仲の新村銀之助さんが考案。アイヌ文様をモチーフにした家紋風デザインで酒の五味を表現。
川端さんも新村さんも「新しい酒蔵?面白そうだ!」と出世払いの手弁当で参加を決めた。
透明感のある美しい酒は町の人の心を鷲掴みにし、地元限定酒「神川」を求めようと町外からの客も増え、月1000本を販売するコンビニも。
売上高前年比108%、取引依頼と連携希望が殺到。
昨年、産学連携で帯広畜産大学構内に新蔵を建造し、川端さんは客員教授に就任。
「市場はあります。酒蔵のない町に酒蔵を造って地域振興を!」と塚原さんは言う。
函館市やオホーツクで計画が進行中で、地方創生蔵とも呼ばれる。
代表銘柄「上川大雪 特別純米」 ↑
●上川大雪酒造 ・北海道上川郡上川町旭町25番地1 ●代表銘柄:上川大雪 純米大吟醸、上川大雪 純米吟醸、十勝 純米、神川 純米 ●杜氏:川端慎治 ●主要な米の品種 彗星、吟風、きたしずく
緑丘蔵隣のギフトショップ。酒や酒粕、酒器などを販売
夜の緑丘蔵
洗米は10kgずつ丁寧に行う
帯広畜産大学の碧雲蔵
初夏の碧雲蔵
碧雲蔵の麹室。次世代の醸造家育成のため、実践で教える
碧雲蔵の麹室。次世代の醸造家育成のため、実践で教える
「十勝」シリーズ
「上川大雪」シリーズ (上記のPhoto:Kamikawataisetsusyuzo)
町内でしか買えない限定酒 純米「神川」を求めに、町外、県外から人が集まる! 何もなかったと言われた地域に、日本酒が人を呼んだ🌾🌾🌾
(酒食ジャーナリスト 山本洋子)
※週刊ダイヤモンド2021年4月3日号より転載
◉おまけ
笑いすぎて、ボツになったカット😆
🌾 🌾 🌾
さて、川端杜氏、初めてその名前を聞いて意識したのは、福井の「白龍蔵元」吉田酒造、吉田由香里さんからでした。杜氏の吉田真子さんが、上川大雪はじまりの時に酒造りを手伝いに、そして、川端杜氏から多くのことを学んだと。
川端杜氏は、福岡の三井の寿にもいたことが・・・井上さんから当時のことをお聞きしてビックリ。今、蔵に残っている山廃もとの記録は川端杜氏の直筆だとか! いや〜、人に蔵に酒に歴史あり!